監修者 竹村 直浩

・会計事務所での実務経験を起点にキャリアをスタートし、
 約30年間にわたりデータベースマーケティング/BPO業務/起業支援/新規事業立案に従事
・データベースマーケティング関連事業・新規事業支援会社では、
 創業者・代表取締役として30年間経営を牽引(現在は取締役として参画)
・新規事業コンサルティング会社の代表取締役として、経営管理・新規事業立案などの業務支援を提供
・介護・衛生管理、シニア向けIT、マーケティングDB構築など複数領域で取締役を歴任し、
 事業開発と組織運営の両面から企業成長を支援

改正労働施策総合推進法とは?2026年の改正内容と企業が対応すべき具体策を徹底解説

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改正労働施策総合推進法は、企業にハラスメント防止対策採用の透明性向上を義務付ける法律です。特に、2026年施行予定の改正では、カスタマーハラスメント対策求職者へのセクハラ防止が新たに義務化されることから、企業に求められる対応範囲は一層広がります。

本記事では、これらの改正内容と、企業が今すぐ始めるべき準備について詳しく解説します。

改正労働施策総合推進法とは

改正労働施策総合推進法とは、労働者が安心して働ける職場環境を整えるために、企業に対してハラスメント防止措置雇用の透明性向上策などを義務付けた法律です。一般的にはパワハラ防止法と呼ばれ、2020年に大企業に対して初めて施行されました。その後2022年には中小企業にも義務が拡大され、全国の事業所で共通の対応が求められるようになりました。

法律の目的は、単にトラブルを減らすことではなく、働きやすい環境を企業が自ら整備する責任を明確にすることにあります。そして2025年にはさらなる改正が成立し、2026年からはより高度な内容が段階的に施行されます。


背景と目的

この法律が求められるようになった背景には、職場内外でのハラスメント被害の増加があります。特に、以下の3点が大きな問題として顕在化してきました。

問題の種類内容社会的影響
パワーハラスメント上司からの威圧的言動・業務外指示精神的苦痛・退職増加
カスタマーハラスメント顧客による暴言・不当要求離職・現場崩壊リスク
採用過程でのセクハラ面接中の不適切発言など企業ブランド失墜・内定辞退

このような背景の中で、企業が対策を講じなければ、社会的評価の低下や訴訟リスクが高まることから、法的に義務を課すことで予防と改善を図る流れが加速しています。


これまでに施行された義務内容

これまでの改正を通じて、企業に課せられている主な義務は以下のとおりです。

義務内容対象企業施行時期備考
パワハラ防止措置大企業2020年6月相談窓口・再発防止など
同上中小企業2022年4月同上
中途採用比率の公表義務従業員301人以上の企業2021年年次公表が必要

これらはすでに法律上の義務となっており、違反すれば厚生労働省の是正指導企業名公表につながるリスクがあります。


2026年から始まる新たな義務とは

2026年10月以降、企業に新たに求められる対策は次の3つです。

新規義務内容義務の種類対象時期
カスタマーハラスメント対策従業員を顧客の迷惑行為から守る体制整備義務2026年10月~
求職者へのセクハラ対策インターン・学生への対応強化義務同上
治療と仕事の両立支援働きながら治療する人への勤務配慮努力義務同上

これまで対象外だった「採用段階」や「社外との接点」も、企業の責任範囲に含まれる点が大きな特徴です。とくに顧客からの迷惑行為は従業員のストレス要因となっているため、職場保全の観点でも早急な対応が求められます。


企業が取るべき具体的な対応策一覧

2026年の施行に向けて、企業が準備すべき対応は多岐にわたります。以下に主要な対策とポイントを表でまとめます。

対応分野対策内容ポイント
ハラスメント対策相談窓口の常設、社内研修定期的な更新・外部連携も有効
就業規則最新法令への反映規定の具体化、例示の明記
採用段階での対策面接官の教育、面接環境整備専門ガイドラインの活用
両立支援短時間勤務、在宅勤務の整備社内規程化し、誰でも利用可に

このような施策は、従業員を守るだけでなく、企業の競争力や社会的評価にも直結します。


違反リスクと企業名の公表制度

企業が義務を怠った場合、厚生労働省から是正指導勧告が出されます。それでも改善しない場合には、企業名が公表される制度が設けられています。

この制度のポイントは以下の通りです。

制度内容詳細
対象行為義務違反で是正勧告に従わない場合
公表方法厚生労働省HPなどに社名掲載
影響信頼失墜、採用難、業績悪化の恐れ

このような措置は、企業の社会的評価に大きなダメージを与える可能性があるため、未然に防ぐ対策が極めて重要です。


改正内容の整理:企業が把握すべき要点

ここまでの内容を踏まえ、企業が理解しておくべきポイントをまとめた一覧です。

分類内容重要度
法改正の主旨ハラスメント全般の抑止と雇用の多様化支援
主な新義務カスハラ・セクハラ(求職者)対策
努力義務治療と就業の両立支援
対応策の種類窓口・研修・規程整備・制度導入
リスク義務違反による企業名公表非常に高い

まとめ

改正労働施策総合推進法は、単なるコンプライアンス対応ではなく、企業の組織文化や経営戦略に直結する制度です。従業員が安全に働ける職場を実現するためには、法令順守だけでなく、具体的な施策を着実に実行する姿勢が不可欠です。

今後は、求職者も「働きやすさ」を企業選びの基準にしています。企業がこの改正に真摯に対応することは、人材の確保、企業イメージの向上、そして持続的な成長へとつながります。

2026年施行までにどこまで準備できるかが、今後の企業の命運を分けるカギとなるでしょう。