監修者 竹村 直浩

・会計事務所での実務経験を起点にキャリアをスタートし、
 約30年間にわたりデータベースマーケティング/BPO業務/起業支援/新規事業立案に従事
・データベースマーケティング関連事業・新規事業支援会社では、
 創業者・代表取締役として30年間経営を牽引(現在は取締役として参画)
・新規事業コンサルティング会社の代表取締役として、経営管理・新規事業立案などの業務支援を提供
・介護・衛生管理、シニア向けIT、マーケティングDB構築など複数領域で取締役を歴任し、
 事業開発と組織運営の両面から企業成長を支援

事業承継・M&A補助金は個人事業主も対象!2026年度の活用法を徹底解説

コラム

2026年度も継続されている「事業承継・M&A補助金」は、個人事業主も申請可能な重要制度です。承継やM&Aに伴う費用負担を軽減し、経営革新や再出発の実現を後押しします。この記事では、制度の概要、補助枠、申請の流れ、活用のポイントまでを詳しく解説します。


個人事業主も対象となる「事業承継・M&A補助金」とは?

2026年度も継続された補助制度の概要

「事業承継・M&A補助金」は、中小企業や個人事業主が円滑な事業引継ぎを行うための支援制度です。特に、後継者不在や引退を考える事業主にとって、承継やM&Aの実行にかかる費用は大きな負担となります。この補助金は、そうした経営課題に対して、最大1000万円の補助を通じてサポートするものです。

2026年2月27日からは第14次公募が始まり、電子申請システム「jGrants」で手続きが行われています。申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必須となっており、取得には日数を要することから、早期の対応が望まれます。


個人事業主が活用できる4つの補助金枠

補助金の枠と対象経費一覧

以下の4つの補助枠が、補助対象となる経費や事業内容に応じて設けられています。

補助枠名支援内容補助上限額
事業承継促進枠設備投資・店舗改装・新商品開発など経営革新の実施原則600万円(最大1000万円)
専門家活用枠M&A仲介料、デューデリジェンス、企業価値評価などの外部専門家費用経費に応じて変動
廃業・再チャレンジ枠店舗解体費・在庫処分費用・法的手続など廃業に関連する費用経費に応じて変動
PMI推進枠M&A後の業務統合、システム構築、コンサルティングなど経営統合の支援費用経費に応じて変動

補助枠ごとの対象者と目的を比較

補助金制度の理解を深めるために、それぞれの枠がどのような意図で設けられているのかを明確にしておきましょう。

補助枠対象者の想定状況主な目的
事業承継促進枠経営を引き継ぎ、新たに設備投資や改革を行う個人事業主成長への投資を通じて事業継続性を高める
専門家活用枠M&Aを初めて実施する小規模事業者プロの知見を活かしてリスクを抑えた承継を行う
廃業・再チャレンジ枠廃業準備を進めつつ、次のビジネス展開を考えている人経済的負担を抑え、新たな挑戦を後押しする
PMI推進枠M&A後の事業運営を統合的に進めるフェーズにある経営者経営体制のスムーズな統合と成長の促進

申請時に押さえておくべき重要なポイント

GビズIDや相見積もりに関する留意点

申請準備において重要な項目を以下の表にまとめます。

チェックポイント内容
GビズID電子申請に必要なアカウント。取得には最大2週間以上かかるため、早期取得が必要
相見積もり経費によっては2社以上の見積書が求められる。特に専門家活用やシステム関連の発注時に必要
賃上げ要件従業員の給与支給総額を増やすことで補助金上限が引き上げられる制度があり、実質的な加点要素になる
登録機関の利用専門家活用枠を使う場合は、M&A支援機関登録制度に登録された業者への支払いに限定されている

これらの条件を正しく理解し対応することが、採択の可能性を高めるカギとなります。


個人事業主が補助金を受け取るまでの流れ

補助金の申請から交付までには、いくつかのステップがあります。

ステップ作業内容
準備段階GビズID取得、公募要領の確認、補助枠の選定
書類作成事業計画書・見積書・経費明細などを整備
電子申請jGrantsにて申請を実施
採択・交付決定審査結果をもとに交付決定通知を受け取る
事業実施・報告書提出実施後に実績報告を行い、補助金の請求処理を完了させる

申請を成功に導くための3つの視点

補助金の申請では、形式的な要件だけでなく、計画の質や事業の持続性が評価の対象となります。成功のために意識すべき要素を3点にまとめます。

  1. 社会的意義の明示
     地域や業界に対してどのような貢献ができるかを示すことで、事業の公益性が評価されます。
  2. 補助金依存ではない計画性
     補助金がなくても一定の運営が可能であることを示すことで、計画の実行性に説得力が生まれます。
  3. 将来の利益構造を具体化
     事業承継後の収益化モデルや再投資のビジョンを具体的に描くことが、審査での評価につながります。

まとめ

事業承継・M&A補助金は、個人事業主にとって経営の転換期を支える大きな味方です。制度を活かすには、正確な情報収集と計画的な準備が欠かせません。

本補助金は、単に事業を維持するための支援ではなく、未来に向けた投資を促す制度です。承継による成長、新たな挑戦、廃業からの再出発など、様々な経営の選択肢を支える仕組みとして、ぜひ有効活用してください。