監修者 竹村 直浩

・会計事務所での実務経験を起点にキャリアをスタートし、
 約30年間にわたりデータベースマーケティング/BPO業務/起業支援/新規事業立案に従事
・データベースマーケティング関連事業・新規事業支援会社では、
 創業者・代表取締役として30年間経営を牽引(現在は取締役として参画)
・新規事業コンサルティング会社の代表取締役として、経営管理・新規事業立案などの業務支援を提供
・介護・衛生管理、シニア向けIT、マーケティングDB構築など複数領域で取締役を歴任し、
 事業開発と組織運営の両面から企業成長を支援

通年雇用助成金とは?対象地域・業種・申請手順についてわかりやすく解説

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通年雇用助成金は、冬季の仕事が減る地域や業種で働く労働者を、1年を通じて雇用し続ける事業者に対して支給される制度です。とくに北海道や東北地方などの豪雪地域において、企業が安定した雇用環境を整えるうえで重要な支援策となっています。

本記事では、制度の概要から対象者、申請手続きまでを、わかりやすく解説します。


通年雇用助成金の概要

制度の目的と基本的な仕組み

通年雇用助成金は、積雪や寒冷により冬季の労働機会が減少する地域や業種で、労働者の通年雇用を実現することを目的とした支援制度です。季節的に業務量が激減する地域では、労働者が冬に離職せざるを得ない状況が発生します。これを改善し、企業と働き手の両方にとって安定した関係を築くことが、この制度の主眼です。

企業側のメリット

  • 人材の確保と離職率の低下
  • 業務の通年化による安定経営
  • 地域貢献への評価向上

労働者側のメリット

  • 収入の安定
  • スキルアップの機会
  • 再就職の不安の軽減

制度は厚生労働省が管轄し、地域のハローワークや労働局を通じて実施されています。


対象となる地域と業種の詳細

指定地域の特徴と指定業種の範囲

助成金の対象は、特定の地域および業種に限られています。以下の表に該当する事業所が対象となります。

区分内容
指定地域北海道、青森、岩手、秋田、山形、福島、新潟、富山、石川などの豪雪地域
指定業種建設業、林業、清掃業、採石業、農業関連など

これらの地域・業種では、冬になると業務縮小や停止が起きやすく、季節雇用が常態化しています。通年雇用助成金は、その状況を打破し、雇用の質と量の安定を同時に図るための施策です。

季節労働が抱える主な課題とその影響

課題影響
冬季に仕事がなくなる生活不安・収入減少・社会保険の未加入
雇用契約が断続的になる労働者の定着率低下・企業の人材不足
毎年雇用をやり直す必要がある採用・教育のコスト増加・ノウハウ継承の断絶

助成対象となる取り組みとは

雇用維持のための具体的な措置例

助成を受けるためには、単なる雇用継続ではなく、具体的な取り組みが求められます。主に以下のような施策が対象となります。

取り組み区分内容の例
継続雇用除雪作業、設備保守、書類整理など屋内業務への配置
業務転換・新規事業加工業務、観光業、サービス業など新たな分野への展開
他事業所への出向同グループや提携企業へ冬季のみ一時出向
社内研修の実施資格取得、マネジメント研修、ITスキル向上研修の実施

具体的な例:建設業者の冬季除雪業務

ある建設会社では、冬季に現場業務が減るため、社員を地元自治体の除雪業務に従事させる体制を整備。これにより、雇用を切らさず通年雇用を実現しています。また、業務の一環として安全講習やマナー教育も行い、従業員のスキルアップにもつなげています。


助成金の金額と支給方法

助成額の計算基準と支給例

支給額は、実施した措置内容や労働者数、賃金額によって異なります。以下は目安としての支給形態です。

措置の種類支給内容の一例
継続雇用型措置対象労働者の冬季賃金の40~50%を助成
業務転換・新規事業施設整備費の50%程度を助成(上限あり)
教育訓練の実施研修費用、教材費、講師謝礼、交通費などの実費助成
出向型措置出向先での労務費の一部を補助(要連携契約)

重要なポイント

  • 上限額は事業規模によって異なるため、事前確認が必要
  • 支給は実績報告に基づく後払い
  • 未提出・不備があると不支給になる可能性がある

通年雇用助成金の申請スケジュールと手続き

申請時期と必要書類の注意点

助成金の申請は、定められた期間に所定の様式で行う必要があります。以下は標準的な申請スケジュールです。

手続き名受付期間提出先
通年雇用届出毎年12月16日~翌年1月31日管轄のハローワーク
支給申請翌年3月16日~6月15日地域の労働局

主な提出書類一覧

書類名内容
通年雇用実施計画書対象労働者・業務内容・配置予定等を記載
賃金台帳実際に支払われた賃金の明細
出勤簿労働実績の確認用
教育訓練実施報告書研修の日時、内容、参加者名簿などを含む

注意点

  • 書類の押印漏れ、日付違い、誤記載に注意
  • 一部自治体ではオンライン申請対応が始まっているため、活用を検討

通年雇用助成金の活用メリットと企業事例

安定雇用が企業の信頼を高める

通年雇用助成金の活用は、単なる補助金取得にとどまらず、企業の経営安定や社会的信頼向上につながります。

効果項目内容
人材定着季節に関係なく働けるため離職を防ぎ、長期雇用が実現
教育機会の提供労働者のスキルアップができ、業務の質も向上
地域社会への貢献安定した雇用を提供することで、地域経済にも寄与
採用力の向上「通年雇用可能な会社」として求職者からの評価が上がる

企業が制度を積極的に活用することで、人材の育成、経営の多角化、ブランド価値の向上といった副次的効果も得られるのです。


まとめ

通年雇用助成金は、単なる金銭的支援にとどまらず、企業の体質改善や人材戦略の転換にも寄与する施策です。特定地域・業種に限定されてはいますが、該当する事業者にとっては大きな後押しとなります。通年で働ける体制を整えることで、労働者にとっては生活の安定、企業にとっては戦力の維持・育成が実現します。地域の雇用安定化という側面からも、この制度の存在意義は非常に高いといえるでしょう。

制度は毎年変更が加えられることもあるため、必ず最新情報を確認し、適切な準備と正確な申請を心がけましょう。正しい理解と実行が、企業と地域の持続可能な未来を切り開くカギになります。