補助金と助成金は、いずれも返済不要で事業の成長を後押しする支援制度ですが、制度の目的や申請の難易度、受給の条件などに明確な違いがあります。本記事では、制度の特徴を比較しながら、自社の目的に合った最適な制度を選ぶためのポイントを詳しく解説します。
補助金と助成金の基本的な違いとは
補助金と助成金はどちらも国や自治体から交付される返済不要の資金支援です。ですが、制度の設計や申請要件には根本的な違いがあります。
まず補助金は、政策的な目的の達成に資する事業を対象にした支援金であり、主に経済産業省や中小企業庁が所管します。企業が策定した事業計画に対して審査が行われ、採択された場合のみ資金が支給されます。
一方、助成金は雇用環境の改善や人材育成など、労働者の保護や成長を目的とした制度です。厚生労働省や都道府県労働局が主に担当しており、条件を満たせば原則として誰でも受給が可能です。
このように、補助金は「競争型」、助成金は「要件適合型」として制度が設計されており、目的に応じた使い分けが求められます。
補助金と助成金の主な違いを一覧で比較
制度の全体像を把握するために、代表的な違いを以下の表にまとめました。
| 比較項目 | 補助金 | 助成金 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 設備投資、新規事業、DX推進など | 雇用促進、労働環境の改善、人材育成など |
| 主な所管 | 経済産業省、中小企業庁、自治体 | 厚生労働省、都道府県労働局 |
| 申請の難易度 | 審査あり、採択率30〜50% | 要件適合で原則受給可 |
| 募集期間 | 数週間から1か月程度 | 通年または年数回 |
| 支給額の目安 | 数百万円から最大1億円以上 | 数十万円から数百万円程度 |
| 支給方法 | 原則後払い | 原則後払い |
補助金の申請手続きと注意点
補助金を申請するには、詳細な事業計画書の作成と、制度の趣旨に合致した取り組みであることを明確に示す必要があります。審査基準には「実現可能性」「費用対効果」「革新性」などが含まれます。
申請から交付決定までには、通常1〜3か月程度を要することが多く、事業のスケジュール管理も重要です。また、採択されてもその後の実績報告や経費精算書類の提出が義務づけられており、管理体制も求められます。
補助金の申請の流れを以下にまとめました。
| 手続きの流れ | 内容 |
|---|---|
| 事業計画の策定 | 目的・予算・実施内容を記載した計画書を作成 |
| 申請書類の提出 | 制度ごとに定められた様式に従い、必要書類を提出 |
| 審査・採択通知 | 審査のうえ、採択の可否が通知される |
| 事業実施・実績報告 | 採択後に事業を進行し、経費明細などの報告を行う |
| 補助金の受給 | 報告内容が認められた場合に支給される(通常後払い) |
補助金は魅力的な制度ですが、書類不備や要件逸脱による返還リスクもあるため、綿密な準備が欠かせません。
助成金の活用と実務面でのポイント
助成金は、企業が行う雇用や人材育成に関する取り組みに対して支給されます。特定の成果を求められるのではなく、定められた要件(例:正社員化、育児支援、研修実施など)を満たしていれば、基本的には受給できます。
代表的な助成金制度の一覧を以下にまとめました。
| 助成金名 | 主な目的 | 支給額目安 |
|---|---|---|
| キャリアアップ助成金 | 非正規社員の正社員化 | 最大72万円/人 |
| 人材開発支援助成金 | 社内研修や職業訓練の実施 | 最大1,000万円程度 |
| 育児休業等支援助成金 | 育休取得の環境整備、代替要員の雇用支援 | 57万円前後 |
| 両立支援等助成金 | 介護・妊娠・出産等の支援制度導入 | 28万〜57万円 |
助成金のメリットは、補助金に比べて受給のハードルが低い点にあります。ただし、受給後に支給条件を満たしていないと判明した場合には返還を求められることがあるため、社内での記録管理も重要です。
補助金・助成金の共通点と課税・財務上の注意
補助金と助成金には以下の共通点があります。
| 共通点の種類 | 内容 |
|---|---|
| 返済不要 | 一度支給されれば、原則として返済義務はない |
| 後払い制 | 実績報告・支出後の支給が基本で、立て替えが必要 |
| 課税対象 | 雑収入として法人税の対象になり、確定申告時の対応が必要 |
| 報告義務がある | 事後報告書・証憑類の提出が求められる制度が多く、対応漏れは返還対象になることも |
受給後の処理を怠ると、ペナルティや次年度申請への影響もあるため、経理・財務担当者と連携して適切に対応しましょう。
補助金と助成金の選び方と活用のコツ
自社の目的に応じて、どちらの制度が適しているかを見極めるためには、経営課題の整理が必要です。
| 活用目的 | 適した制度 |
|---|---|
| 事業拡大・新市場開拓 | 補助金 |
| 社内制度の整備・人材育成 | 助成金 |
| DX・IT導入 | 補助金 |
| 雇用の安定・定着 | 助成金 |
| 複数の課題に取り組む場合 | 両方の併用が可能 |
制度は単独で使う必要はなく、組み合わせることでより効果的に活用できます。たとえば、補助金で設備投資を行い、助成金でそれを活用する従業員の教育訓練を実施するなど、戦略的な設計が重要です。
まとめ
補助金と助成金は、いずれも企業の発展や経営基盤の強化に活用できる強力な支援制度です。しかし、制度の本質的な違いを理解しないまま申請してしまうと、労力だけが無駄になることもあります。
重要なのは、「何のために制度を利用するのか」「どのような成果を得たいのか」という目的を明確にし、それに沿った制度を選択することです。
自社にとって最も効果的な支援を見極め、必要な準備を整えたうえで制度を賢く活用することが、持続的な成長と組織力強化への第一歩となるでしょう。


