事業再構築補助金は、ポストコロナ時代における企業の挑戦を後押しする国の補助制度です。売上が減少した中小企業などが構造改革に踏み切るための資金支援として、最大1億円の補助を受けられます。本記事では、制度の目的から対象要件、補助対象経費や申請枠の違いまで、丁寧に解説します。
事業再構築補助金の概要と目的
事業再構築補助金は、経済産業省が実施する支援制度です。新型コロナによって厳しい経営状況に置かれた企業に、新しい市場やビジネスモデルへの転換を促すことを目的としています。
この補助金のポイントは、単なる売上補填ではなく「事業の変革」を支援する点です。最大1億円までの補助が可能で、新規事業の立ち上げや業態変更、事業再編などにかかる費用が対象となります。
さらに、制度の導入背景には、日本経済全体の構造改革と地域経済の活性化があります。事業転換を通じて企業体質を強化することで、中長期的な競争力向上が期待されています。
補助対象となる企業と申請要件
以下に、制度の対象となる企業と申請時の主な要件をまとめます。
| 対象事業者 | 要件 |
|---|---|
| 中小企業・中堅企業 | 法人・個人を問わず対象(ただしみなし大企業は除外) |
| 売上減少 | 直近6か月のうち任意3か月の売上が10%以上または20%以上減少 |
| 事業計画 | 認定経営革新等支援機関と連携して策定することが必須 |
| 売上向上計画 | 事業再構築後に売上が向上する計画があること |
また、補助金申請には、過去の売上実績との比較による証明資料が必要となります。支援機関との早期の連携が、スムーズな申請に不可欠です。
補助対象となる事業類型とは
この制度では、以下のような大胆な事業転換が補助対象となります。
| 事業類型 | 主な内容 |
|---|---|
| 新分野展開 | 全く異なる業種や製品への進出(例:飲食店が食品製造業へ) |
| 業態転換 | 提供方法の転換(例:対面販売からEC販売へ) |
| 事業転換 | 事業の主軸そのものを変更(例:製造内容の大幅変更) |
| 事業再編 | 合併・分割・事業譲渡などの構造改革 |
いずれの事業類型も、過去と明確に異なる取り組みであることが重要です。単なる改善・強化ではなく、大胆な変革であることが求められます。
補助金額と補助率の仕組み
補助額は事業の規模や取り組みによって異なり、以下の通りです。
| 類型 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠 | 最大6,000万円 | 中小企業:2/3、中堅企業:1/2 |
| 成長分野進出枠 | 最大1億円 | 同上 |
| コロナ回復加速化枠 | 最大8,000万円 | 同上 |
特に成長分野進出枠では、グリーン成長やデジタル分野への取り組みが評価されます。GXやDXを含むプロジェクトは、採択の可能性が高まる傾向にあります。
補助対象となる経費の種類
補助金で支援される経費は非常に広範囲に及びます。以下の表に代表的な経費をまとめました。
| 経費項目 | 内容 |
|---|---|
| 建物費 | 新築・改修・解体など事業に必要な施設整備 |
| 機械装置費 | 製造・加工・ITインフラの設備投資 |
| 技術導入費 | 外部専門家による支援・指導料 |
| 広告宣伝費 | 新商品・サービスの販促活動費 |
また、経費に関しては補助対象外のものもあるため事前確認が必須です。たとえば、事業再構築と直接関係のない汎用備品などは対象外です。
2025年度・第13回公募の主な申請枠
第13回公募では、制度の整理が進み、2つの明確な枠組みとなっています。
| 申請枠 | 概要 |
|---|---|
| 成長分野・進出枠 | 成長市場やGX分野などへの進出を支援する枠組み |
| コロナ回復加速化枠 | コロナ影響が続く企業向け。最低賃金引上げなどの努力を重視 |
このように、申請する企業は自身の状況と計画に最適な枠を選定する必要があります。
よくある誤解と注意点
申請時に多くの企業が誤解しがちなのが、「事前着手」に関するルールです。補助金の交付決定前に契約・発注したものはすべて対象外となるため、正式採択後に活動を始める必要があります。
また、以下のような点に注意が必要です。
| 注意点 | 解説 |
|---|---|
| 事業計画の具体性 | 定量的な数値目標、根拠ある市場分析が必須 |
| 審査の厳格化 | 単なる希望的観測では通らない。計画の現実性が問われる |
| スケジュール管理 | 申請から交付決定までに数ヶ月かかることを想定すべき |
これらの落とし穴を避けるには、早期の準備と認定支援機関との連携が鍵となります。
今後の展望と制度の移行予定
第13回公募をもって、現在の事業再構築補助金は制度としての終了が見込まれています。以降は、「新事業進出補助金」へと段階的に移行する予定です。
制度移行に伴い、補助率や対象事業、審査基準も変更される可能性があります。今の制度が利用できる最後のチャンスとなる可能性が高いため、申請を検討している場合は、すぐにでも準備を開始することが望ましいでしょう。
まとめ
事業再構築補助金は、単なる資金支援ではなく、企業の未来を根本から変えるための政策的支援です。売上の回復ではなく、構造的な転換を求めるこの制度は、本気で変革を目指す企業にとって非常に大きなチャンスです。
申請には時間と労力がかかりますが、認定支援機関との協働によって成功率を高めることができます。自身の強みや事業環境を見直し、新たな可能性に挑戦する企業にとって、この制度は力強い後押しとなるでしょう。

