監修者 平岡 拓也

医療業界に特化した社会保険労務士。
大学卒業後、調剤薬局にて事務・登録販売者として勤務し、その後本社人事労務を担当。現場と本部の双方を経験し、医療業界特有の労務課題やメンタルヘルス問題に精通している。

風通しの悪い職場環境を経験したことをきっかけに、働きやすい職場づくりを支援するため社会保険労務士として独立。従業員のモチベーション向上やメンタルヘルス対策を重視した人事労務支援を強みとする。

FP2級資格を保有し、企業型DC(確定拠出年金)の導入支援にも対応。福利厚生制度の整備を通じて、従業員の将来の安心と企業の持続的成長をサポートしている。

介護福祉士試験のパート合格制度とは?2026年開始の新制度をわかりやすく解説

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2026年から施行される「介護福祉士試験のパート合格制度」は、受験者にとって大きな転換点となります。本記事では制度の内容や背景、メリットと注意点、そして今後の学習戦略までを網羅的に解説します。新制度に対応し、確実な合格を目指すための手がかりにしてください。

パート合格制度とは何か

介護福祉士国家試験に導入されるパート合格制度とは、筆記試験科目を三つのパートに分け、それぞれ独立して合否判定を行う仕組みです。合格したパートは最大2年間有効となり、その間は再受験を免除されます。これにより、一度に全科目合格を目指す必要がなくなり、受験のハードルが下がります。

制度の主なポイント

項目内容
開始時期第38回試験(2026年1月)
合格の有効期限翌年と翌々年の最大2年間有効
初回受験全パート受験が必須
再受験不合格パートのみ受験可
合格基準0点科目があると不合格扱い(パート合格も無効)
手数料全パート、一部パート共に一律18,380円

この制度は段階的な合格を可能にし、受験者にとって精神的・時間的負担の軽減が期待されます。

制度導入の背景と目的

新制度導入の背景には、慢性的な介護人材の不足という課題があります。高齢化社会が進む中、介護職の需要は年々高まり続けていますが、試験制度の難易度や一発勝負によるプレッシャーが受験者を遠ざけていました。

厚生労働省は、この問題に対処するために、試験制度の柔軟化を図る必要があると判断しました。パート合格制度はその一環であり、資格取得の機会を広げることで、人材確保と福祉の質の向上を目指しています。

試験内容とパートの構成

パート合格制度では、試験科目が以下の三つのパートに分類されます。

パート該当科目
Aパート人間の尊厳と自立、人間関係とコミュニケーション、社会の理解、こころとからだのしくみ、発達と老化の理解
Bパート障害の理解、医療的ケア
Cパート介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程、総合問題

それぞれのパートは、基礎知識から実践力までバランスよく構成されており、いずれも重要な評価対象です。

科目別の出題目的

科目群出題の目的
人間関係とコミュニケーション対人援助の姿勢・傾聴力を問う
医療的ケア医行為に準じた判断と処置理解
生活支援技術現場の援助技術の正確さと倫理性
総合問題全体の応用力、問題解決力を確認

各パートの特性を正しく理解し、偏りのない対策が重要となります。

合否判定と再受験制度の詳細

制度上、パートごとの得点が基準を超えていれば合格と判定され、そのパートの再受験は不要になります。ただし、いずれかの科目で0点があると、その回は全パート不合格となるため、全体においてバランスの取れた学習が求められます。

合格パートの有効期限は、受験翌年と翌々年までの2回分。この期間内であれば、不合格だったパートだけを再受験すれば良いため、受験回数の戦略的な管理がしやすくなります。

手数料と試験スケジュールに関するポイント

受験にかかる費用については、従来通り一律料金で18,380円。全パートを受ける場合も、一部パートの受験でも変わりません。

これは手続き上の簡素化を目的としており、費用負担の公平性も維持されるかたちとなっています。

試験時の注意点まとめ

項目注意すべき内容
合格基準0点があると全パート不合格になる可能性
有効期限2年以内に全パートを合格しなければ無効になる
試験時間パート別に配分される可能性があるため事前確認が必須
手数料部分受験でも減額なし

このように、制度変更によって柔軟性は高まったものの、ルールを理解しなければ本来のメリットを活かしきれません。

メリットとデメリットの比較

パート合格制度は、受験者にとって非常に大きな可能性をもたらします。主な利点は以下の通りです。

メリット一覧

内容解説
合格への道筋が明確になる苦手科目に絞って再受験可能
学習負担の軽減短期間集中による効率的な対策が可能
モチベーションの維持合格実績が励みとなりやすい
計画的な受験が可能2年の有効期間内で受験スケジュールを調整できる

一方で、デメリットも存在します。

注意点(デメリット)

  • 合格までに時間がかかるケースがある
  • 年をまたぐことで学習モチベーションが低下する可能性
  • 合格パートの内容を忘れてしまうリスク

パート単位での学習管理が、これまで以上に重要となる制度であることが分かります。

学習戦略と具体的な取り組み方

新制度に対応した対策としては、まず自分自身の得意・不得意分野を客観的に把握することが出発点です。模擬試験や過去問の結果をもとに、優先順位を付けて学習内容を整理していきます。

特に、出題数が多い「生活支援技術」「介護過程」などは、配点比重も高く、重点的な対策が必要です。また、医療的ケアや障害の理解など、普段触れる機会が少ない科目は、資料や動画などを活用して実感を伴う学びが求められます。

さらに、合格したパートの知識を維持するために、「忘却防止スケジュール」を立てておくことも大切です。

忘却防止の復習スケジュール(例)

学習内容
1〜2月新しいパートに集中、過去合格パートを週1で復習
3〜4月過去問演習+暗記項目の再確認
5〜6月模試形式で定着度チェック
7〜8月合格パートの再確認、苦手パートの補強
9〜12月本番形式で総仕上げ、全体バランス確認

復習を計画的に行えば、2年後の本試験でも自信を持って臨める状態を維持できます。

よくある質問と受験者の誤解

Q:すべてのパートを一度に合格できた場合、次回以降に試験免除されるのか
A:はい、再受験の必要はありません。有効期限内の再受験も不要です。

Q:免除されたパートを再受験したい場合、可能か
A:いいえ、原則再受験はできません。有効期間終了後に再挑戦が可能となります。

Q:0点の取り扱いは厳しいのか
A:はい。一科目でも0点があると、合格基準を満たしていても不合格となります。

受験生の多くが、制度の柔軟化=合格しやすくなる、と誤解しています。合格率が大幅に上がるわけではなく、ルールの中で戦略的に取り組む姿勢が求められます。

まとめ

パート合格制度の導入は、介護福祉士を目指す方にとって大きな転機です。全体合格にこだわらず、ステップバイステップで資格取得を目指せる柔軟性が特徴です。一方で、制度の細かな条件を把握しなければ、せっかくの合格チャンスを逃してしまう可能性もあります。

自分に合ったペースで学び、計画的に挑戦を重ねることが合格への最短ルートです。新制度を十分に理解し、的確な対策を講じて合格を勝ち取りましょう。