2027年4月から「育成就労制度」がスタートし、外国人介護人材の受け入れ体制は大きく変化します。技能実習制度の廃止を前に、事業者は何を準備し、どう対応すべきか。
この記事では、制度の違い、実務上の対応、移行スケジュールなどを整理し、介護現場がとるべき実践的な行動を明らかにします。
外国人介護人材の受け入れ制度が変わる背景
技能実習制度から育成就労制度への転換
2027年4月から開始される「育成就労制度」は、これまでの技能実習制度に代わる新しい外国人就労制度です。技能実習制度は本来、「技能移転による国際貢献」を目的としてきましたが、制度運用の実態としては人手不足の解消が主目的となっていたという課題がありました。
この反省を踏まえた新制度では、3年間の就労と教育を通じて、特定技能1号への確実な移行を前提とする設計となっています。
| 制度名 | 主な目的 | 位置づけ | 就労後のステップ |
|---|---|---|---|
| 技能実習制度 | 技能移転 | 研修的制度 | 必ずしも特定技能に移行しない |
| 育成就労制度 | 人材育成・定着 | 労働制度 | 特定技能1号(介護)へ移行 |
技能実習制度は2030年までに完全廃止される予定で、2026年以降の新規受け入れは育成就労に一本化されます。
育成就労制度で求められる対応とは
教育体制と労働環境の整備が鍵
新制度では、単に労働力を提供してもらうのではなく、「育てて定着させる」という考え方が基本となります。そのため、介護事業所は教育体制の整備と職場環境の改善という両面からの対応が求められます。
| 対応項目 | 求められる内容 |
|---|---|
| 教育内容 | 日本語能力、介護知識、マナー、文化理解などを含む総合的な育成 |
| 指導体制 | マニュアル整備とともにOJT・集合研修のバランスをとる |
| 評価・進捗管理 | 特定技能への移行を前提とした、定期的なスキル評価が必要 |
とくに重要なのが日本語教育です。介護現場では「伝える力」「聴く力」が必要とされ、介護福祉士の国家試験合格にも日本語スキルが直結します。

職場の魅力を高めるための工夫
転籍可能時代に選ばれる職場になるには
育成就労制度では、条件を満たせば他の事業所への転籍が可能になります。人材の流動性が高まる中で、事業所は「選ばれる存在」となる必要があります。
以下の観点で職場の魅力を強化することが不可欠です。
| 観点 | 改善内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 給与・待遇 | 昇給制度の透明化、資格取得手当 | モチベーション向上、定着率アップ |
| 職場文化 | 多文化共生に配慮したマネジメント | 離職リスクの低下 |
| キャリア支援 | 国家資格取得の支援制度、eラーニング導入 | 長期就業につながる意欲育成 |
さらに、現場スタッフとの信頼関係構築や相談体制の整備も、人材の定着に大きく寄与します。
在留資格と制度移行のスケジュール
現在働いている人材への影響と支援
新制度は、これから来日する外国人だけでなく、すでに就労している人材にも影響を与えます。技能実習から育成就労への移行、さらには特定技能1号へのステップアップという流れに沿ったサポートが必要です。
| 現在の在留資格 | 2027年以降の対応 |
|---|---|
| 技能実習 | 経過措置のうえ、育成就労へ順次移行 |
| 育成就労 | 原則3年間の就労後、特定技能1号へ |
| 特定技能1号 | 制度の変更なし(継続可能) |
不安を感じている実習生に対する情報提供と説明会の実施が、現場での混乱を防ぐうえで極めて重要です。
今後2年間における注目すべき動き
法改正・現場対応・制度運用に関する変化
制度導入前後の2025〜2026年は、以下のような重要な動きがあります。
| 年 | 主な動き | 対応策 |
|---|---|---|
| 2025年 | 訪問介護への外国人従事が条件付きで解禁 | 外部研修と個別同行指導 |
| 2026年 | 厚労省や出入国在留管理庁による運用指針の明示 | 新制度を前提としたマニュアル作成 |
特に訪問介護では、利用者との一対一の関わりや在宅での対応力が求められるため、さらに高い日本語力と介護スキルが問われます。
制度移行に向けた組織内体制の見直し
管理・連携・評価体制の強化が鍵
育成就労制度の安定的な運用には、組織内外の体制整備が求められます。現場任せにせず、法人としての包括的な対応が必要です。
| 必須体制 | 概要 | 目的 |
|---|---|---|
| 受け入れ計画 | 3年計画で育成と定着を見据える | 育成の見通しを明確化 |
| 管理体制 | 人事・現場・管理職間での情報共有 | 離職防止と定着率向上 |
| 外部連携 | 登録支援機関・監理団体と連携 | 制度運用と手続きの確実化 |
事前に連携先と役割分担を明確にすることで、実務負担の偏りを防ぎ、制度変更による混乱を最小限に抑えることができます。
まとめ
新制度の導入によって、外国人介護人材との向き合い方が根本から変わろうとしています。単なる労働力ではなく、組織の一員として育てていく姿勢が求められます。
制度変更は確かに大きな挑戦ですが、見方を変えれば、それは人材戦略を再構築する絶好の機会でもあります。
| 要点 | 優先対応 |
|---|---|
| 制度の理解と浸透 | 社内研修、マニュアル整備 |
| 教育と評価 | OJT・OFF-JT・試験対策の充実 |
| 定着支援 | 生活支援、日本語力向上、家族支援 |
| 魅力ある職場づくり | 公平な評価と働きやすさの実現 |
これからの介護業界において、人材を「雇う」から「育てる」に切り替えられるかどうかが、継続的な人材確保の成否を分けることになるでしょう。



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